デフォルト効果

分野:心理・判断

最初から印の付いた申込用紙と、印が付いたまま出ていく用紙の束。何もしなければ初期設定がそのまま結果になる見立ての絵

何もしなければそのまま当てはまる設定(初期設定、デフォルト)が、人の選ぶ結果を大きく左右する、という現象。

初期設定から変えるには手間がかかり、手間をかける人は一部なので、多くの人は初期設定のままになる。

同じ人たちでも、初期設定を逆にするだけで、選ばれる側の割合が大きく変わる。

MadrianとShea(2001年)は、米国の会社が積立年金を自動で加入する形に変えると加入が大きく増え、多くの人が会社の決めた掛け金の率と運用先のままでいたことを示し、理由を、そのまま動かない惰性と、初期設定を投資の勧めと受け取ることに求めた。

3つの例で見る

3つとも同じ骨組みです。同じ人たちでも、多くは何もしなければ当てはまる初期設定の側に残り、変えるのは手間をかける一部です。初期設定を逆にすると、分かれ方も逆になります。

仕組み

何もしなければ当てはまる選択肢を、初期設定といいます。初期設定から変えるには手間がかかり、手間をかけるのは一部の人です。そのため同じ人たちでも、初期設定を逆にするだけで、多くの人がいる側が入れ替わります。

同じ人たちでも、初期設定で分かれ方は変わるか。選択肢Aを初期設定にすると多くの人がAに残り、一部だけがBに移る。初期設定をBに替えると、多くがBに残り、分かれ方が逆になる概念図。概念図で、数値ではありません。デフォルト効果の考え方を、選択肢AとBに分かれる人の数で描いた模型です。

通知の例え

例えです。スマホにアプリを入れたとき、通知がはじめからオンになっているとします。わざわざ切る人は一部で、多くの人の通知はオンのままです。はじめからオフのアプリなら、オンにするのが一部で、多くはオフのままです。

通知がはじめからオンだと、何人がオンのままか。通知がはじめからオンのアプリでは多くの人がオンのままで、一部だけがオフにする。はじめからオフのアプリでは、多くがオフのままになる例えの概念図。例えの概念図で、実在のアプリや数値ではありません。デフォルト効果を、スマホの通知の設定に置きかえた模型です。

積立年金の研究

MadrianとShea(The Quarterly Journal of Economics、2001年)は、米国の会社が積立年金を、申し込んだ人だけが入る形から、断らない限り入る形に変えた前後を比べました。断らない限り入る形では加入が大きく増え、多くの人が会社の決めた掛け金の率と運用先のままでした。前の形で、同じ組み合わせを選んだ人は少数でした。

自動で入る形に変えると、加入する人はどう変わるか。申し込んだ人だけが入る形では多くが未加入のままで、一部だけが加入する。断らない限り入る形に変えると、多くが加入のままになる概念図。概念図で、論文の数値ではありません。Madrian・Shea「The Power of Suggestion」(The Quarterly Journal of Economics、2001年)の比べ方を模型にしました。

今の AI の例は、下の「この概念・法則でニュースを読む」の記事で読めます。

この概念・法則でニュースを読む

初期設定でAIをオンにするのはMeta、外し漏れの責任は広告主

なぜ?Metaは広告主がAIの機能をいつでも外せると説明するのに、なぜ代理店が確かめを重ねても、頼んでいない手直しが配信中の広告に残るのか

この記事からわかることAIの機能が足される道具は、更新を知ったら担当が外すAIの項目を一覧にし、畳まれたメニューまで開いて外し、実際に出た広告や文書で確かめ、それでも手直しが出るならAIの機能をまとめて止めるかを決める

どんなときに当てはまるか

何もしないときに当てはまる選択肢が決まっていて、変えるには手続きや操作が必要なときに起きる。変える手間が大きいときや、初期設定が勧めに見えるときに強まる。

見分ける手がかり

選ばれた結果が、初期設定の側に大きく偏る。初期設定が逆の場面と比べると、偏りも逆になる。

使うときに気をつけたいこと

初期設定のままの人が、その設定を望んでいるとは限らない。初期設定のままの割合を、そのまま好みの表れと読まない。強く望む人は手間をかけて変えるので、初期設定でどんな結果にも人を導けるわけではない。

関連する概念・法則

この概念・法則の出典と記録

最初に観測した日
2026-10-23
出典
Brigitte C. Madrian・Dennis F. Shea「The Power of Suggestion: Inertia in 401(k) Participation and Savings Behavior」(The Quarterly Journal of Economics、第116巻第4号、2001年)