誰にでも専門家ではない領域がある。それでも判断しなければならない。
投資をどうするか。子どもの教育に何を選ぶか。キャリアを変えるべきか。事業のこの一手は正しいか。どれも専門外で、誰も正解を教えてくれない。それでも、決めるのは自分だ。
こういうとき、いちばん簡単なのは「詳しい人に任せる」こと。専門家に聞く、ネットで調べる、人気の意見に乗る。早いし、楽になる。けれど任せた瞬間、その判断はもう自分のものではなくなっていることがある。
私はそれが、ずっと引っかかっていた。
だから、このメディアを作った。
元はメディアで起業をして、その後スタートアップのプロダクトマネージャー、そして再度起業。一度テクノロジーに賭けて挫折した。リソースだけが消えて、何も進まなかった年月もある。その経験がいまの考え方の起点になっている。
当時の私は「専門家の意見がないと正しくない」を正解だと思っていた。違った。少人数のチームにその正攻法は効かない。
いまは状況が変わった。AIがあれば持っていないスキルでも手を動かせる。専門家がいなくても判断の材料は自分で集められる。
問題は「AIで何ができるか」ではない。AIが何でもやってくれる時代に、では自分は何を判断するのか——そこに残るのは、人間の判断だけになる。
techtech.club が扱うのは、AIではない。判断だ。
AIを語るメディアはもう十分にある。techtech.club が見ているのはその先。AI時代に、専門外のことを自分の頭で判断するための道具になることを目指している。AIは主役ではない、私たちのほうだ。
判断は、三つの層で支えられる。そこに、手を動かす入口を足した。
- 判断の材料—— 情報リテラシー(トピックス/ニュース)。事実を浴びるのではなく、その背後にある力学を読む。個別のニュースより、点ではなく線で。
- 手を動かす入口—— 実践スキル(practice)。”やったことがない”は、もう通用しない。AIで、まず動いてみる入口を作る。
- 判断の座標軸—— 俯瞰する力(MAGAZINE)。歴史が、視座を上げる。長期の物差しを持つ。
- 判断の筋力—— 思考の土台(Gym)。時代は変わる。思考力は腐らない。フレームワークと思考法を鍛えるためのトレーニング。
約束していること。
情報は売らない。情報にアクセスする権利が読者の経済状況で分断されるべきではないと考えている。収益は実績にコミットできるときにだけ発生させる。
そして、教えない。私はあらゆる領域の専門家ではないし、上から正解を渡す立場にもいない。ここで書くのは答えではなく、判断するための材料と視点。読者を対等な相手として、一緒に考える側にいたい。
考える人の、道具になる。それが、techtech.club のすべてだ。