アルゴリズム嫌悪

人は、アルゴリズム(機械の予測や判断)が間違えるのを見ると、人間が同じ間違いをしたときより早く信頼を失う。
その結果、アルゴリズムの方が人間より正確だった場合でも、人間の判断を選ぶようになる。
避ける傾向は、アルゴリズムの働きを見る前より、間違いを見たあとに強く出る。
3つの例で見る
3つとも同じ骨組みです。機械が外れるのを見ると、人が同じように外したときより信頼が大きく下がり、正確さでは機械が上でも人の判断が選ばれやすくなります。
仕組み
機械の予測が外れるのを見ると、人が同じように外したときより信頼が大きく下がります。正確さでは機械が上のままでも、任せる先は人の判断に戻ります。避ける傾向は、外れを見る前より見たあとに強く出ます。
同じ外れを見たとき、信頼が大きく下がるのはどちらか。機械の予測と人の判断への信頼を柱で、実際の正確さを点線で示す図。どちらも同じように外したあと、機械への信頼だけが正確さより大きく下がって人を下回り、正確さは機械が上のまま人の判断が選ばれる。概念図で、数値ではありません。Dietvorst・Simmons・Massey「Algorithm Aversion」(Journal of Experimental Psychology: General、2015年)の考え方を図にしたものです。
身近な例え
例えで言うと、地図アプリも自分の勘も、ときどき道を間違えます。地図アプリが一度、通れない道へ案内すると、次から知らない町でも自分の勘で曲がりたくなります。迷う回数は勘の方が多くても、外れを見た地図アプリから離れてしまいます。
地図アプリが一度、道を間違えたら。地図アプリと自分の勘への信頼を柱で、実際の正確さを点線で示す図。どちらも道を間違えたあと、地図アプリへの信頼だけが大きく下がり、迷う回数が多い勘で道を選ぶようになる。身近な場面に置きかえた例えの概念図です。特定のアプリや実際の出来事ではなく、数値もありません。
研究の例
Dietvorst らの5つの研究(2015年)で、参加者は報酬をアルゴリズムと人のどちらの予測で決めるかを選びました。アルゴリズムが予測するのを見た人ほどそれを選ばなくなり、人より正確だと見たあとでも同じでした。一方、専門家でない人が、アルゴリズムが出したと伝えた助言に人の助言より強く従ったという研究もあります(Logg ほか、2019年)。
アルゴリズムの予測を見た人は、どちらを選んだか。Dietvorst らの研究の結果の向きを示す図。アルゴリズムと人の予測への信頼を柱で、実際の正確さを点線で示す。外れを見たあと、より正確なアルゴリズムへの信頼が大きく下がり、選ぶ人が減る。Dietvorst・Simmons・Massey「Algorithm Aversion」(Journal of Experimental Psychology: General、2015年)の結果の向きを示す概念図です。柱の高さと外れの印の数は数値ではありません。
今の AI の例は、下の「この概念・法則でニュースを読む」の記事で読めます。
この概念・法則でニュースを読む
人に向けた文章ほど、AIだと明かせない
なぜ?本人のための評価なのに、なぜAIを使ったと伝わらないのか
この記事からわかること使ったことを隠すのではなく、AIが整理した部分と自分の判断を分けて、従業員に説明する
どんなときに当てはまるか
受け手が、アルゴリズムの予測や判断の結果を見て、間違いに気づいたとき。人間の判断と並べて、どちらを使うかを選べるときに起きやすい。
見分ける手がかり
一度の外れをきっかけに、機械の答えを使わず人の判断に戻す動きが出る。機械の方が成績がよいという記録があっても、使われ方が戻らない。
使うときに気をつけたいこと
AIが関わったと知っただけで成果や人が低く見られる現象と混同する誤り。この研究で引き金になったのは、機械が間違えるのを見たことである。機械を避ける判断がいつも誤りだと読むのも誤り。
関連する概念・法則
AI使用の評価ペナルティ に似ている
どちらも機械が関わると評価が下がるが、AI使用の評価ペナルティは使った人の印象が下がり、アルゴリズム嫌悪は機械の間違いを見たあとに機械の答えが避けられる。
この概念・法則の出典と記録
- 最初に観測した日
- 2026-10-08
- 出典
- Berkeley J. Dietvorst・Joseph P. Simmons・Cade Massey「Algorithm Aversion: People Erroneously Avoid Algorithms After Seeing Them Err」(Journal of Experimental Psychology: General、2015年)