制約理論

工程が順につながった仕事では、全体の出来高は、いちばん処理の遅い工程(制約)で決まる。
制約でない工程をいくら速くしても、制約の前に作りかけのものがたまるだけで、全体の出来高は増えない。
改善は、制約を見つけ、制約の時間を無駄にせず、ほかの工程の速さを制約に合わせ、そのうえで制約の能力を上げる順に進める。
制約が動いたら、次の制約を探し直す。
3つの例で見る
3つとも同じ骨組みです。順につながった流れの速さは、いちばん遅いところで決まります。ほかに余った力があっても使われず、いちばん遅いところを速くしたときだけ、全体も速くなります。
仕組み
仕入れ・加工・組み立て・発送と順につながった仕事では、全体の出来高は、いちばん遅い工程(制約)で決まります。ほかの工程の余った力は使われず、制約の能力を上げたときだけ出来高が上がります。能力が次に遅い工程に追いつくと、そこが新しい制約になります。
いちばん遅い工程の能力を上げると、何が起きるか。仕入れ・加工・組み立て・発送の能力を横棒で並べた図。全体の出来高はいちばん短い組み立ての棒にそろう。組み立ての能力を上げると出来高も上がるが、仕入れの棒に並ぶと止まり、制約が仕入れに移る。概念図で、数値ではありません。ゴールドラットとコックスの『ザ・ゴール』(1984年)で広まった制約理論の考え方を、仕入れから発送までの流れに置きかえたものです。
身近な例え
例えば家族で皿洗いを手分けするとき、拭く人が1人だと、洗い終えた皿が水切りかごにたまります。拭く人を増やすと片付く速さは上がりますが、洗う人に追いついたところで止まります。今度は、洗う手が全体を決めるからです。
拭く人を増やすと、皿洗いはどこまで速くなるか。皿洗いの洗う・すすぐ・拭く・しまうの速さを横棒で並べた図。片付く速さはいちばん短い拭く人の棒にそろう。拭く人を増やすと速くなるが、洗う人の棒に並ぶと止まり、今度は洗う人が速さを決める。身近な場面に置きかえた例えの概念図です。実際の出来事ではなく、数値もありません。
原典の場面
ゴールドラットとコックスの小説『ザ・ゴール』(1984年)の場面です。工場長のアレックスが加わったボーイスカウトのハイキングで、列の速さを決めていたのは、いちばん歩くのが遅いハービーでした。ハービーを先頭に歩かせ、荷物をみんなで分けて持つと、列全体が速く進めるようになりました。
いちばん遅い子の荷物を分けると、列はどうなるか。ハイキングの子どもたちの歩く速さを横棒で並べた図。列の速さはいちばん短いハービーの棒にそろう。荷物をみんなで分けるとハービーの棒が伸び、列の速さも上がる。ゴールドラットとコックスの小説『ザ・ゴール』(1984年)の場面をもとにした概念図です。小説の中の話で、実際の出来事や調査ではありません。棒の長さは数値ではありません。
今の AI の例は、下の「この概念・法則でニュースを読む」の記事で読めます。
この概念・法則でニュースを読む
AIで書く量が増えても、仕上がる量は確かめる速さで決まる
なぜ?書くのが速くなったのに、なぜ仕上がるソフトは増えないのか
この記事からわかることAIに作らせる量を増やす前に、確かめ待ちの山を数え、作る量を確かめられる量に合わせる
どんなときに当てはまるか
仕事が複数の工程を順に流れ、前の工程の出来上がりが次の工程に渡るとき。工程ごとに処理の速さが違い、日によってばらつきもあるとき。
見分ける手がかり
特定の工程の前にだけ、待ちの列や作りかけのものがたまる。一部の工程を速くしても、最後に出来上がる量が変わらず、待ちの時間だけが延びる。
使うときに気をつけたいこと
いちばん忙しそうな工程を、確かめずに制約と決めつける誤り。制約は、待ちがたまる場所と、全体の出来高が変わるかで見分ける。制約でない工程の改善を無駄と読むのも誤りで、制約を広げたあとは別の工程が次の制約になる。
この概念・法則に関係するニュース
この概念・法則の出典と記録
- 最初に観測した日
- 2026-10-10
- 出典
- エリヤフ・ゴールドラット、ジェフ・コックス『The Goal』(邦題『ザ・ゴール』、1984年)