組織は戦略に従う

分野:組織

黒い矢印の戦略が3つに分かれ、その下で組織の図も同じ形で3つに分かれる。組織の形が戦略に合わせて組み替わる見立ての絵

会社の組織の形(誰が何を受け持ち、どこで判断するか)は、その会社の戦略に応じて作られる、という考え方。

戦略は、長い目で見た目標と、そのための進め方と資源の割り当てを決めること。

戦略が変わると、こなす仕事の種類と判断の置き場が変わるため、組織はあとからそれに合わせて組み替わる。

経営史家のアルフレッド・チャンドラーが、アメリカの大企業4社の歴史から導いた。

3つの例で見る

3つとも同じ骨組みです。目指すもの(戦略)が変わると求められる仕事が変わり、前の受け持ちのままでは仕事が1か所に集まります。そこで組織の形が、あとから戦略に合わせて組み替わります。

仕組み

戦略は、長い目で見た目標と、そのための進め方と資源の割り当てを決めることです。戦略を変えると求められる仕事の種類が変わりますが、組織の形が前のままだと、新しい仕事も前の受け持ちに集まって詰まります。そこで、仕事の種類に合わせて受け持ちを分け直すことになります。

目指すものを変えると、受け持ちはどう組み替わるか。目標が変わると新しい仕事が増え、前の受け持ちに集まる。受け持ちを仕事ごとに分け直すと、線がまっすぐ通る概念図。概念図で、数値ではありません。チャンドラー『Strategy and Structure』(1962年)の考え方を、仕事と受け持ちの形で描いた模型です。

身近な例え

例えです。町の食堂が、店で食べる客より、持ち帰りと配達に力を入れると決めたとします。電話の注文を受ける、料理を詰めて届けるといった仕事が増えますが、ホールの係が全部を受けると注文がたまり、仕事ごとに係を分け直して、ようやく回ります。

持ち帰りと配達に力を入れると、店の係はどう分かれるか。食堂が持ち帰りと配達に力を入れると、電話の注文と配達の仕事がホールの係に集まり、係を分け直すと線がまっすぐ通る概念図。例えの模型で、実在の店ではありません。組織は戦略に従うという考え方を、食堂の係に置きかえた概念図です。

歴史の例

経営史家のアルフレッド・チャンドラーは『Strategy and Structure』(1962年)で、デュポンやゼネラル・モーターズなど4社の歴史を調べました。量や地域を広げ、製品を増やす戦略を取ると、意思決定を分ける必要が生じ、事業部ごとに判断を任せる形へ組み替わっていきました。組織が先に変わって戦略に影響することもある、とチャンドラー自身も述べています。

製品と地域を広げた会社は、組織をどう組み替えたか。製品と地域を広げると新しい判断が本社に集まり、製品や地域ごとの事業部に判断を分ける形へ組み替わる概念図。概念図で、数値ではありません。チャンドラー『Strategy and Structure』(1962年)の要旨を、日本語版と英語版のWikipediaの解説で確かめた範囲で描いた模型です。

今の AI の例は、下の「この概念・法則でニュースを読む」の記事で読めます。

この概念・法則でニュースを読む

目標を閲覧数から直接の読者に替えると、担当の分け方も替わる

なぜ?検索からの訪問に頼れない時代に備えるのに、なぜThe Vergeは読者を増やす担当を縮めず、何でもこなす役割をやめて専門の担当を広げたのか

この記事からわかること目標を閲覧数から直接の読者に替えたら、追っている数字を書き出し、来た人が頼むまでの段を並べ、段ごとに受け持つ人と追う数字を1つずつ決め、人が足りなければ手前の段から1つずつ持つ

どんなときに当てはまるか

戦略が変わり、それまでと違う種類の仕事や判断が増えたとき。チャンドラーが調べた会社では、量や地域を広げる、製品を増やすといった、規模の拡大を伴う戦略がきっかけだった。

見分ける手がかり

目標は替わったのに、担当の分け方や成果の物差しが前のままで、新しい仕事や判断が特定の人や部署に集まって詰まる。組み替えのあとは、受け持ちごとに別の目標を持つようになる。

使うときに気をつけたいこと

組織を先に替えれば戦略がついてくる、という読み方はこの考えの主張ではない。ただし、組織が先に変わって戦略に影響することもありうると、チャンドラー自身も述べている。元の研究は大企業が規模を広げたときの話で、小さなチームの役割分担に当てはめるのは同じ筋の読み替えになる。

この概念・法則の出典と記録

最初に観測した日
2026-10-20
出典
Alfred D. Chandler Jr.『Strategy and Structure: Chapters in the History of the American Industrial Enterprise』(MIT Press、1962年)/邦訳『組織は戦略に従う』(有賀裕子訳、ダイヤモンド社、2004年)