できるようになること
30分後の状態:
- Geminiにプロンプトを投げて3分でコールドリストを生成し、スプレッドシートにエクスポートして営業準備に入れる状態になる。
最終的な完成状態:
- 住所、電話番号、WebサイトURL、Googleマップリンク、口コミ評価、店舗の特徴が入った営業リストがスプレッドシート上に整理されている。ここから人間が精査すれば、そのまま営業活動に使える状態になる。
最終アウトプット
Geminiが生成した営業リストをGoogleスプレッドシートにエクスポートしたもの。
含まれる情報:店名、住所、ジャンル、電話番号、WebサイトURL、各種SNSリンク、Googleマップリンク、口コミ評価・特徴、良い評価傾向、悪い評価傾向。

結論
Gemini × Googleマップでの営業リスト作成は「使える」。ただし、叩き台として。
Googleマップから取れる情報は、住所、電話番号、WebサイトURL、Googleマップリンク、評価点、店舗の特徴やジャンル。これだけあればコールドリストとしては十分な情報量だ。20件以上を一度に3分ほどで出力できるため、手作業と比べた時間短縮は明らかに大きい。
一方で、口コミ数の正確な取得や、GBP(Googleビジネスプロフィール)の詳細な状態判定は精度にばらつきがある。最終的には人間の目でチェックが必要になる。
これは欠点ではない。「ゼロからリストを作る」のと「叩き台を検証する」のでは、かかる時間も判断の精度もまったく違う。Geminiに叩き台を作らせて、人間は判断に集中する。この役割分担が正解だ。
向いている人:
- 地域ビジネスへの新規開拓を行うフリーランスや小規模事業者。
- 営業リストに時間をかけたくないが、精度も妥協したくない人。
向いていない人:
- 業界特化のデータベース(帝国データバンク等)に匹敵する精度を求める人。
- 100件以上のリストを一括で必要とする場合や、定期的な自動更新が求められる営業体制には、CRMツールやスクレイピングなど別のアプローチが要る。
具体的な使用方法と手順
今回使用したのは、Google Gemini。通常モードとディープリサーチの2つのモードで検証した。
前提:
記事では、MEO対策サービスのフリーランスが、飲食店向けのコールドリストを作る想定で進める。自分の業種やターゲットに合わせて読み替えてほしい。
| 項目 | 設定 |
| 自社情報 | フリーランスのMEO対策・ローカルSEO支援 |
| ターゲット | 個人経営の飲食店(カフェ、レストラン、居酒屋など) |
| エリア | 東京都台東区・蔵前〜浅草エリア |
| リストの種類 | コールドリスト(面識なし、新規開拓用) |
なぜGeminiを使うのか。理由は単純で、Googleマップの情報に直接アクセスできるAIツールが現時点ではGeminiだけだからだ。
ChatGPTやClaudeでは同じプロンプトを投げてもGoogleマップの店舗データを直接参照できない。ツール選定の余地がないほど、この用途ではGeminiが圧倒的に適している。
まず出してみる(そして、つまずく)
まずはシンプルなプロンプトでGeminiに営業リストを頼む。ここでは意図的に「情報源を指定しない」書き方をする。
使用プロンプト:
東京都台東区の蔵前〜浅草エリアにある個人経営の飲食店をリストアップしてください。
GoogleマップとWeb検索の情報をもとに調べてください。
Googleビジネスプロフィールが未整備、または口コミ対応ができていない店舗を優先してください。
店名、住所、ジャンル、口コミの状況をまとめてください。

上記のプロンプトで店舗のリストは出てくる。
ただし、Googleマップの情報が十分に反映されない場合が多い。住所やジャンルは出るが、口コミの詳細な状況やGBPの状態は曖昧な記述になりやすい。

「GoogleマップとWeb検索の情報をもとに」と書いても、Geminiは必ずしもGoogleマップを優先的に参照しない。情報源が分散し、結果の出どころが不明確になる。これが最初のハードルだ。
情報源を「Googleマップのみ」に絞る
プロンプトの冒頭で「Googleマップの情報のみ使用して」と明示する。これが今回の検証で得た最大の学びだ。
使用プロンプト:
Googleマップの情報のみ使用して、東京都台東区の蔵前〜浅草エリアにある個人経営の飲食店をリストアップしてください。
件数はなるべく多く(20件以上推奨)リストアップしてください。
店名、住所、ジャンル、電話番号、WebサイトURL、各種SNSリンク、Googleマップリンク、口コミによるお店の評価・特徴、口コミによる良い評価3つ、悪い評価3つをまとめてください。
出力はGoogleスプレッドシートにエクスポートできるテーブル形式で出力します。

Googleマップに登録されている情報をベースに、20件以上のリストが出力される。テーブル形式を指定しているため、そのままGoogleスプレッドシートにエクスポートできる。
住所、電話番号、WebサイトURL、Googleマップリンク、評価点は精度が高い。
口コミの良い評価・悪い評価も箇条書きで出力されるが、総合的な口コミの要約としては鵜呑みにできない部分もある。「ざっくり店舗の傾向を知る」レベルでは使える。

注意点:
出力形式には箇条書きとテーブルの2パターンがある。
箇条書きはチャット欄では見やすいが、スプレッドシートにエクスポートできない。テーブル形式はチャット欄では見づらいが、スプレッドシートへの直接エクスポートが可能。営業リストとして使うなら、プロンプトで明示的に「テーブル形式で出力」と指定すること。


また、「チェーン店は除外」と明示しなくても、「個人経営の飲食店」と指定すれば、Geminiは独立店舗や地域密着型の店を中心に選定してくれた。
今回何度試してみても口コミ件数はGoogleマップのデータから取ることはできず、食べログなど外部サイトのクチコミ件数を取得することが多かった。
スプレッドシートにエクスポートして仕上げる
Geminiが出力したテーブルをGoogleスプレッドシートにエクスポートし、人間の目で精査する。
- Geminiのテーブル出力をスプレッドシートにエクスポート(Geminiの出力画面からワンクリックで可能)
- 全件のGoogleマップリンクを開いて、店舗が実在するか確認(閉業チェック)
- WebサイトURLをクリックしてリンク切れがないか確認
- 口コミ評価を実際のGoogleマップと照合
- 確認済みの行にフラグを立てて、営業優先度を設定する

所要時間の目安は、20件のリストで15〜20分。1件あたり1分弱で確認できる。
つまずきポイント:
Geminiの出力を「完成版」と思わないこと。
あくまで叩き台だ。今回試してみて、住所・ジャンル・Webサイト・SNSリンク・電話番号・Googleマップリンク・評価点のデータはほぼ合っていた。
しかし、口コミの要約は、全体傾向の一部しか反映されていない可能性がある。営業前に必ず実際のGoogleマップを確認してほしい。
【補足】通常モードとディープリサーチの使い分け
今回、Geminiの通常モードとディープリサーチの両方で検証した。結論から言えば、用途が異なる。
通常モード:リスト作成に向いている。指定したエリアの店舗を一覧化し、テーブル形式でエクスポートできる。件数も20件以上を安定して出力する。

ディープリサーチ:リスト作成には不向き。Googleマップ以外のソースも含めた広範な調査を行い、出力はレポート形式になる。特定の1〜2店舗を深く調べたいとき、たとえば営業訪問前の事前リサーチには使える。

ディープリサーチはテーブルも出力するが、メインの出力は詳細なレポート形式になる。リスト作成の目的には過剰で、所要時間も10分以上かかる。通常モードと出力内容に大きな差はないため、リスト作成には通常モード一択だ。

使い分けの判断は明確だ。「広く浅く」ならリストを出す通常モード、「狭く深く」なら特定店舗をリサーチするディープリサーチ。
評価

編集者あとがき
正直に言えば、最初のテストでは期待外れだった。「GoogleマップとWeb検索で調べて」と指示したのに、Googleマップの情報が十分に引けない。プロンプトの書き方を変えても、出力の質が安定しない。
転機は「Googleマップの情報のみ使用して」と情報源を一つに絞ったときだ。Geminiに「どこを見るか」を明確に指定したら、結果が一気に安定した。
これはGeminiに限った話ではない。AIに仕事を頼むとき、「何をしてほしいか」の指示に意識が向きがちだが、実は「どこから情報を取ってほしいか」の方が結果を左右する。情報源の指定は、プロンプト設計の中で最も過小評価されているポイントだと思う。
Geminiの強みは、Googleのサービス群と直接連携できること。今回のGoogleマップ活用はその典型だ。
営業リストとして見ると、完璧ではない。口コミの要約は部分的だし、Googleビジネスプロフィールの状態を正確に判定してくれるわけでもない。でも、「ゼロからリストを作る1時間」と「叩き台を検証する20分」は、体験としてまったく違う。後者の方が判断の精度も上がる。なぜなら、白紙から情報を集めるのと、既にある情報の正誤を確認するのでは、人間の認知的な負荷がまるで違うからだ。
応用範囲は広い。飲食店に限らず、美容室、クリニック、工務店、士業事務所、地域ビジネスなら何でも同じ手順で使える。エリアと業種を書き換えるだけだ。
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