同じ2月18日、2つの対照的なニュースが出た。FigmaはAI機能「Figma Make」の急成長を背景にQ4売上が前年比40%増を記録し、株価が15%上昇した。

一方、Mistral AIのCEO アーサー・マンシュは「企業ソフトウェアの50%以上はAIに置き換えられる」と発言した。AIはSaaSを破壊するのか、それとも強化するのか。答えは一つではない。

事実 何が起きたか

FigmaはQ4 2025で売上3億380万ドル(前年比40%増)を達成しAI機能の週間アクティブユーザーが前四半期比70%増加した一方、Mistral AIのCEOは企業ソフトウェアの50%以上がAIに置き換わると発言した。

読み解き なぜ重要か

この同日の2つのニュースは、AIがSaaS産業を「一律に破壊する」のではなく「適応できた企業を加速させ、適応できない企業を淘汰する」という選別の力学が働いていることを示している。

影響 何が変わるか

SaaS企業が「AIに食われる」か「AIで成長する」かの分岐線が可視化され、既存のソフトウェア企業はAI統合の速度と深度が生存を左右する局面に入った。

Overview

  • FigmaのQ4売上は3億380万ドルで前年比40%増、粗利率は86%を維持した。
  • AI機能「Figma Make」の週間アクティブユーザーは前四半期比70%増加した。
  • Mistral AI CEOのアーサー・マンシュは企業ソフトウェアの50%以上がAIに置換可能と発言した。
  • マンシュは「数日で調達や物流のワークフローアプリを構築できる」と具体例を示した。

アーサー・マンシュが「置き換えられる」と語ったソフトウェアと、FigmaがAIで加速させたソフトウェアは、実は同じカテゴリではない。例に挙げたのは調達や物流のワークフロー——つまり、定型業務を自動化するための「道具としてのソフトウェア」だ。一方、Figmaが強化したのはデザインという「思考を形にするためのソフトウェア」だ。AIが代替しやすいのは前者であり、AIが人間の能力を拡張する余地があるのは後者だ。

以前配信した「SaaS株が年初から15%下落、Anthropic"Claude Cowork"発表で破壊的競争への懸念再燃」と「"AIバブル"と"SaaS崩壊"は両立しない」で、市場がSaaS崩壊を一律に織り込み始めた構造を指摘した。Figmaの決算はその構造に反証を突きつけている。粗利率86%を維持しながらAI機能の利用者が70%増加したという数字は、AIのコストを吸収しながら成長を加速できるSaaS企業が存在することを証明した。ただし、Figmaが3月からAIクレジットの利用制限と課金を導入する予定であることは、AI機能の無制限提供が持続不可能だという現実も同時に示している。

SaaSの未来は「全滅」でも「全生存」でもなく、AIとの共生速度による選別だ。

考える問い

  • あなたが使っているSaaSのうち、AIで「数日で代替構築できる」ものはどれくらいあるか。
  • FigmaのようにAIを統合して成長できるSaaS企業と、AIに置き換えられるSaaS企業の違いは何か。

報道記事・ソース

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ジョン

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ジョン

techtech.club 編集長。メディアで起業し、元はスタートアップのプロダクトマネージャー。一度テクノロジーに賭けて挫折した。その経験がいまの生き方や考え方、事業の起点になっている。ここで書くのは答えではない。投資・キャリア・事業など専門家でなくても自分の頭で判断するための材料と視点。読者に教えるのではなく、一緒に考える側にいたい。