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いつものデザインでAIとスライド作成――PowerPointの中でClaudeが動く
2026.02.21

いつものデザインでAIとスライド作成――PowerPointの中でClaudeが動く

Claude
Claude
いつものデザインでスライド作成――PowerPointの中でClaudeが動く

提案資料をAIに作らせてみたけど、自社のフォーマットから外れた"それっぽいだけ"のスライドが出てきた。結局、全部作り直した——そんな経験はないだろうか。

問題はAIの性能ではない。「渡し方」だ。PowerPointにClaudeのアドオンを入れると、スライドマスターを活かしたまま、パワポの中で直接スライドを生成できる。

この記事では、自社テンプレートに沿った提案資料を、Claudeと一緒に30分で形にする手順を見せる。

できるようになること

30分後の状態:

  • スライドマスターを使った提案資料のドラフトを生成できるようになる。初回はアドオン導入とスライドマスターの設定に15分ほどかかるが、2回目以降は要件整理からドラフト完成まで30分で回せる。

最終的な完成状態:

  • 自社のデザインテンプレートに沿った8枚構成の提案資料が1本完成する。微調整すれば、そのままクライアントに提出できるレベルのドラフトだ。

最終アウトプット

今回作成したのは、Web制作会社(TECHTECH.)から製造業のクライアント(techtech.club株式会社)へのコーポレートサイトリニューアル提案資料(この記事のための架空設定)。

8枚構成で、課題整理からスケジュール、費用、ネクストステップまでを含む。

いつものデザインでスライド作成――PowerPointの中でClaudeが動く

結論

PowerPoint × Claudeアドオンは、提案資料の「ドラフト生成機」として実用レベルにある。

スライドマスターを設定しておけば、デザインの統一はClaudeが担保する。構成と要件をしっかり詰めて指示すれば、5分程度で8枚のスライドが出てくる。そこから人間が内容を確認し、微調整して仕上げる。トータル30分で、ゼロから作るのとは比較にならない。

ただし、「いい感じに作って」では使えない。曖昧な指示には曖昧な出力が返ってくる。これはAIツール全般に言えることだが、PowerPointのスライド生成では特に顕著だ。スライドごとに何を載せるか、どんな構成にするか——人間が先に整理しておく必要がある。

 

向いている人:

  • テンプレートは持っているが、毎回中身を考えて埋める時間がない人。提案の型が決まっていて、案件ごとに内容を差し替えたい人。

向いていない人:

  • スライドのデザインそのものをゼロから作りたい人。アニメーションなどを駆使したビジュアル重視の企画書やピッチデックを作りたい場合は、Claudeの守備範囲ではない。

具体的な使用方法と手順

提案資料の作成を、5つの工程に分けて進める。

  1. 環境セットアップ
  2. スライドマスターの準備
  3. 要件の整理
  4. スライド生成
  5. 確認と修正

環境セットアップ(初回のみ・5分)

PowerPointにClaudeのアドオンを追加する。一度やれば、次回以降は不要だ。
手順:

  1. Microsoft マーケットプレイスからClaudeアドオンを追加。
  2. PowerPointを起動する
  3. PowerPoint内でClaudeにログインする
  4. チャット欄が使えるようになれば完了

いつものデザインでスライド作成――PowerPointの中でClaudeが動く

特に難しい設定はない。Microsoftアカウントでサインインし、Claudeのアカウントと連携するだけだ。

スライドマスターの準備(初回のみ・10分)

スライドマスターを適切に設定しておくと、Claudeがスライドを生成する際に、そのデザインを自動で適用してくれる。

なぜスライドマスターが重要か:

スライドマスターは、フォント、配色、レイアウトの「設計図」にあたる。これが設定されていれば、Claudeがどんな内容を生成しても、見た目は統一される。

逆にこれがないと、Claudeのデフォルトデザインで生成されるため、後からデザインを揃える手間が発生する。

やること:

  1. 自社のスライドテンプレート(pptx)を開く
  2. 「表示」→「スライドマスター」でデザインを確認・調整する
  3. タイトル用、コンテンツ用、比較用など、使いたいレイアウトが揃っているか確認する

すでに自社テンプレートがある場合は、それをそのまま使えばいい。

なければ、まずPowerPointの既存テーマをベースにカスタマイズするか、Claudeに相談してスライドマスターの作成から始めることもできる。

要件の整理(15分)

Claudeに渡すプロンプトを準備する。ここで手を抜くと、出力の品質が下がる。

実際にやってみてわかったのは、要件の粒度がスライドの品質を決めるということだ。「提案資料を作って」では使えない。スライドごとに何を載せるかまで指定する必要がある。

やること:

  • 提案者情報を書き出す——社名、業態、強み。自社の何が相手にとって価値になるかを1〜2行で。
  • クライアント情報を整理する——社名、業態、現状の課題。ヒアリングや事前調査で掴んだ内容をそのまま。
  • 提案内容を定義する——何をするか、ゴール(数値があればなお良い)、予算感、期間。
  • スライド構成を決める——各スライドの役割と載せる内容を、1行ずつ書き出す。ここが最も重要だ。

人間同士で仕事をするときと同じだ。「いい感じにお願い」では、相手も困る。何を作るのか、誰に向けたものなのか、何を伝えたいのか。それを整理して渡す。これはAIになっても変わらない。

スライド生成(5分)

PowerPointのClaude チャット欄にプロンプトを入力する。

今回使用したプロンプトは以下の通り。

以下の要件に沿って、スライドを作成してほしい。
スライドはスライドマスターのデザインを使用すること。

# 提案者(自分側):
- 社名:TECHTECH.
- 業態:Web制作・デジタルマーケティング支援(5名体制)
- 強み:中小企業向けのサイトリニューアルに特化、SEOとCVR(コンバージョン率)改善の一気通貫対応

# 提案先(クライアント):
- 社名:techtech.club株式会社
- 業態:産業用精密部品メーカー(従業員80名)
- 状況:既存のコーポレートサイトが2018年制作で放置状態。採用難と新規取引先開拓が経営課題。展示会頼みの営業から脱却したい。

# 提案内容:
- コーポレートサイトのフルリニューアル
- ゴール:問い合わせ数の増加(月5件→月15件)、採用応募の導線構築
- 予算感:300〜500万円
- 期間:3ヶ月

# 提案資料に含めたいスライド構成(8枚想定):
1. 表紙:社名・案件名・日付
2. 課題整理:クライアントの現状と課題を構造化
3. 提案概要:何をどう解決するかの全体像
4. 実施内容:具体的な施策(サイト構成、SEO、採用ページ等)
5. スケジュール:3ヶ月のマイルストーン
6. 体制:誰が何を担当するか
7. 費用:概算見積り
8. 次のステップ:この提案後のアクション

8枚のスライドが約5分で生成された。スライドマスターのデザインが適用された状態で出力される。

いつものデザインでスライド作成――PowerPointの中でClaudeが動く

ポイント:

  • 指定したスライド枚数と内容に忠実に生成される
  • スライドマスターのデザインが自動適用される
  • レイアウトが崩れている箇所があっても、Claudeが自動検出して整えてくれる場合がある

確認と修正(10分)

生成されたスライドを1枚ずつ確認する。

確認すべきポイントは3つだ。

1. 内容の正確性:Claudeが生成した文言や数値が、要件と合っているか。特に費用やスケジュールの数字は必ず確認する。AIが「それっぽい」数字を入れている場合がある。

2. レイアウトの崩れ:テキストがボックスからはみ出していないか、図表の配置はおかしくないか。崩れている場合は、Claudeに「スライド○枚目のレイアウトを修正して」と指示すれば対応してくれる。

3. 文脈の一貫性:スライド間でトーンや論理の流れが途切れていないか。課題整理で挙げた問題が、提案概要でちゃんと解決策に繋がっているか。

応用:調査データのスライド化

提案資料とは別に、もう一つ便利な使い方がある。Claudeにリサーチとグラフ作成を同時に依頼する方法だ。

使用プロンプト:

スライドを作成してほしい。
1スライド目:日本におけるiOSとAndroidのシェア率を比較した年表グラフ
2スライド目:世界におけるiOSとAndroidのシェア率を比較した年表グラフ
スライドデザインは、黒をベースに落ち着いた色を使用すること。

調査からグラフ生成、スライドへの配置まで約5分で完了した。
いつものデザインでスライド作成――PowerPointの中でClaudeが動く

調査→データ整理→グラフ作成→スライド配置という一連の作業をClaude内で完結できるのは、時間短縮の効果が大きい。

ただし、ここでも指示の精度が品質を左右する。たとえば「日本とアメリカのiOSとAndroidのシェア率をスライドにして」のような曖昧な指示だと、折れ線グラフと棒グラフが混在したり、片方のデータが抜けたりする。

「何を」「どんな形式で」「どこまで」表示するかを明確にすること。

なお、Claudeが出すデータや数値は必ず一次ソースで確認すること。これは調査系の使い方全般に言えることだ。

他にもパワーポイントアドインのClaudeでは、特定スライドの文言修正、添付データのグラフ化、構成の再構築、全体のブラッシュアップなど、多くの操作に対応している。ゼロからの生成だけでなく、既存スライドの改善にも使える点は覚えておいて損はない。

 

評価

コスト
3/5
Claude Proプラン(月額$20)があれば追加費用なし。アドオン自体は無料。
クオリティ
3/5
ドラフトとしては十分な品質。最終的な微調整は人間が必要。デザインの凝ったスライドには向かない。
使いやすさ
4/5
パワポの中で完結するため、ツール間の行き来が不要。チャットで指示するだけ。
汎用性
4/5
スライドマスターとプロンプトを差し替えれば、どんな資料タイプにも応用できる。提案資料、報告書、会議資料など。
手軽さ
3/5
アドオンの導入は簡単。プロンプトの書き方が唯一の学習コスト。
John
Thought by John

編集者あとがき

正直に言うと、最初は「パワポのアドオンでどこまでできるのか」と懐疑的だった。理由は以前「Plus」というパワポアドインを使って散々な結果だったからだ。

今回Claudeのアドインで実際にやってみて思ったのは、これは「スライドを自動生成するツール」ではなく、「スライドの中身を一緒に考えてくれるパートナー」だということ。

スライドマスターを設定し、要件を整理して渡す。Claudeがドラフトを作り、人間が確認して仕上げる。この分担が明確だからこそ、実用的に使える。生成されるスライドのクオリティ、日本語の精度も問題なし。

核心にあるのは、結局「指示の質 = 出力の質」という、あらゆるAIツールに共通する原則だ。無能な上司のもとで部下が成果を出せないのと同じで、曖昧な指示からは曖昧な資料しか出てこない。これはAI時代になっても変わらない。

ただ、裏を返せば、要件さえしっかり整理できれば、資料作成のスピードは劇的に変わる。今回の提案資料は、要件整理を含めて30分で形になった。ゼロから作れば2〜3時間はかかる作業だ。

Claudeのパワポアドインは、スライド生成を行うすべての人間が使うべきクオリティに到達している。これを使わないのは正直時代遅れだ。

次に試したいのは、過去の提案資料をテンプレートとして読み込ませ、案件情報だけ差し替えてドラフトを量産するワークフローだ。営業が多い時期に、これができるとかなり楽になる。

John
John

テクノロジーと人間の境界を見つめ続けている。

学生起業、プロダクト開発、会社経営。ひと通りやった。一度は「テクノロジーで世界を変える」と本気で信じ、そして挫折した。

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正解は急がない。煽りもしない。ただ、見逃してはいけない変化には、静かに立場を取る。

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