できるようになること
この記事を読むと、AIでLPのモックアップを生成し、チームやデザイナーとの認識合わせに使えるようになる。
30分後の状態:
- AIにLP要件を伝え、モックアップを生成し、1回の修正指示で「共有に使えるレベル」に仕上げられる。
最終的にできること:
- モックアップ+要件テキストをセットにした「ビジュアルブリーフ」を作成し、社内合意やデザイナーへの依頼時に「同じ絵を見て会話する」状態を作れる。
最終アウトプット
AIが生成したLPモックアップ(HTML+CSS、レスポンシブ対応)。
今回は、TECHTECH.自体のLPを題材に、Claude、ChatGPT、Geminiの3ツールで同一要件からモックアップを生成した。

このモックアップは「完成デザイン」ではない。デザイナーやチームに「こういう方向性でいきたい」を伝えるためのコミュニケーションツールだ。
結論
「見せる」は最速の合意形成手段であり、AIがそれを5分で可能にした。
テキストや口頭で方向性を議論し、認識がズレ、手戻りが発生する。これは能力の問題ではなく、手段の問題だ。言葉だけでビジュアルの認識を合わせることに構造的な限界がある。
AIモックアップはこの問題を解消する。要件をプロンプトに落とし込めば、5分以内に「見て確認できる叩き台」が出る。会議の前に共有すれば、議論の出発点が「イメージの擦り合わせ」から「具体的な改善点の議論」に変わる。
今回3つのAIツールを試した結果、結論としてはClaude(Opus 4.6)が最もバランスが良い。ただし、この記事の本題はツール比較ではない。どのツールを使うにせよ、「言葉で議論する」から「見せて合意する」にプロセスを変えること自体が、コミュニケーションコストを大幅に削減する。
向いている人:
- LPやWebページの企画・発注を担当している人
- 社内にデザイナーがいない、または外注で回している人
- デザインの打ち合わせで認識のズレに悩んでいる人
向いていない人:
- そのまま本番に使えるデザインを求めている人
- ピクセル単位の精度が必要な段階にいる人
具体的な使用方法と手順
全体の流れ
- 要件整理
- モックアップ生成
- 修正指示
- ビジュアルブリーフ作成
合計30分以内で、デザイナーやチームに渡せる「こんなイメージで考えている」を表現するためのビジュアルブリーフが完成する。
要件整理
モックアップの精度は、ここで決まる。AIに「良い感じのLPを作って」と丸投げしても、出てくるのは「AIっぽい良い感じ」でしかない。
自分で書き出してもいいが、AIに壁打ちさせると整理が早い。
プロンプト例:要件整理シートの作成
あなたはWebディレクターです。
これからLPのモックアップを作成するために、要件を整理したいです。
以下の情報をもとに「LP要件整理シート」を作成してください。■ わかっていること
- サービス名:techtech.club
- コンセプト:「AIで、一人の限界を超える」
- サブコピー:「"やったことがない"は、もう通用しない。30分後、プロとして動け。」
- ターゲット:少人数で事業を回す人(一人会社、スタートアップ初期、中小企業の何でも屋、副業・独立準備中)
- LPの目的:記事への流入、サイトの認知拡大
- トーン:シンプル、余白多め、テック感はあるが人間味がある、煽らない■ 作成してほしいもの
以下を含むLP要件整理シートを作成してください。
1. 基本情報(サービス名、目的、ターゲット)
2. 伝えたいこと(優先順位つき)
3. ページ構成(セクション名と各セクションの役割)
4. デザインの方向性(トーン、色味、フォントの方針)
5. 補足事項・注意点情報が不足していれば質問してください。
ポイントは「わかっていること」と「わかっていないこと」を分けて渡すことだ。AIは不足を質問で埋めてくれる。自分の頭の中を言語化する作業をAIに手伝わせるイメージで使うとよい。
モックアップ生成
要件が整理できたら、モックアップを生成する。以下のプロンプトを使った。
自身の要件に合わせて内容を修正してほしい。
プロンプト:
以下の要件をもとに、ランディングページのモックアップを作成してください。HTML+CSSで、レスポンシブ対応してください。
実際に動作する完成品ではなく、チーム内での認識合わせやデザイナーへの依頼時に「こんなイメージ」を共有するための叩き台です。■ 基本情報
- サービス名:techtech.club
- コンセプト:「AIで、一人の限界を超える」
- サブコピー:「"やったことがない"は、もう通用しない。30分後、プロとして動け。」
- ターゲット:少人数で事業を回す人(一人会社、スタートアップ初期、中小企業、副業・独立準備中)■ ページ構成(上から順に)
1. ファーストビュー:コンセプト+サブコピー+CTA
2. 課題提起:ターゲットが抱える「一人で全部やらなきゃいけない」現実
3. 解決策:techtech.clubが提供する価値(30分で実務レベルのノウハウ)
4. 記事カテゴリ一覧(動画作成、リサーチ、画像編集、学習、ツール作成、表計算、資料作成)
5. 最新記事ピックアップ(3本分のカード)
6. CTA:記事を読む■ デザインの方向性
- シンプルで余白を活かしたレイアウト
- テック感はあるが冷たくない、人間味のあるトーン
- 色味:白ベース、アクセントカラーは控えめに1色
- フォント:読みやすさ重視
- 画像は使わずテキストとレイアウトで構成する
同一のプロンプトを3つのAIに投入した。かかった時間はどのツールも5分以内。
ここでは記事作成時点での各AIの差を出す。使用するAIツールの参考になればと思うが、本質は「目的をスムーズに、そして高速に達成するためのコミュニケーション」だ。
Claude Opus 4.6:85点

Claudeのアーティファクト機能でプレビュー付きのモックアップを生成。
レイアウト、情報構成、トーンのいずれもイメージに近い。ただし「デザインとして完成度が高すぎる」点は注意が必要だ。
デザイナーに渡す際には「これは方向性の共有であって、このデザインを踏襲してほしいわけではない」と明示する必要がある。
Claude Sonnet 4.5:30点

「アーティファクトで作成して」と指示したにもかかわらず、HTMLとCSSのコードをそのまま出力した(上記はソースコードをブラウザに反映してプレビューしている)。
指示を守れていない時点で減点だが、アウトプット自体は質素でシンプル。ただし、考え方を変えると、ワイヤーフレームレベルのシンプルさはデザイナーにとって「余白」になる。指示に縛られず自由に提案しやすいという見方もできる。
ChatGPT(GPT-5.2):40点

プレビューは表示されるが、一部崩れている。具体的には、背景色が途中で黒から白に切り替わり、白系の文字が見えなくなるバグが発生した。
GPT-5.2 Thinkingモードでも差はなし。デザインの「AIっぽさ」も残る。1度の出力でそのまま使うのは厳しい。
Gemini Canvas(Flash):55点

出力としては問題なし。プロンプトに忠実で、情報の構成に違和感もない。
ただしデザインのAIっぽさは抜けきれていない。「悪くないが、そのまま共有するには物足りない」という印象。
Gemini Canvas(Pro):80点

Flashとは明確に差が出た。デザインとして十分使えるレベルで、意思疎通ツールとしてはまったく問題ない。Claude Opusと並ぶ選択肢になる。
しかし、「これはデザインではない、考えている方向性はこんな感じ」という共有は必須になる。
修正指示
1度の出力で完璧を目指す必要はない。ただし、何度も修正を重ねると使用制限にかかったり、意図と違う出力が続いて「AIは使えない」という結論に至りかねない。
前提や要件は人間が整理しておく。AIとの壁打ちで整理してもいい。そのうえで、少ない修正でゴールに到達させる。
今回は以下の修正指示を出した。
全体的にやや重たい印象です。もう少しカジュアルに、ただし煽りにはならないように修正してください。
修正結果
Claude Opus 4.6:

全体のデザインは維持しつつ、文言がカジュアルな方向に調整された。最もイメージに近い。修正の意図を正確に汲み取っている。
Claude Sonnet 4.5:

引き続きアーティファクトを作れず。修正後も大きな変化なし。
ChatGPT(GPT-5.2):

修正後も表示のバグが残ったまま。文言は変わったが、根本的な問題が解消されていない。
Gemini:

カラー絵文字が追加された。これは指示していない。AIが「カジュアルにする=装飾を足す」と解釈した結果だ。
意図と違うアウトプットが出る典型例で、「おまかせ」にすると起きる現象だと言える。正確に指示するか、不要な変更は「やらないで」と明示する必要がある。
この工程で得た気づき:
修正指示は「抽象的すぎる」と意図しない方向に行く。「カジュアルに」だけでは、文言を変えるのか、レイアウトを変えるのか、色味を変えるのかが伝わらない。
人間同士の会話でも同じことが起きるが、AIは「とりあえずやれること全部やる」傾向がある。
修正指示のコツは、変えたいことだけでなく「変えないでほしいこと」も伝えることだ。例えば以下のように。
以下を修正してください。
-文言のトーンをもう少しカジュアルにする(煽りにはしない)
- レイアウト、配色、構成はそのまま維持する
- 装飾要素(絵文字、アイコンなど)は追加しない
ビジュアルブリーフの作成
モックアップが「これで方向性は伝わる」レベルになったら、デザイナーやチームに渡す「ビジュアルブリーフ」にまとめる。
モックアップ単体で渡すと「これがデザインの正解」と受け取られかねないので、要件テキストとセットにすることが重要だ。
以下のプロンプトで、AIにブリーフの形に整理させる。
ここまでのやり取りをもとに、デザイナーに渡すための「ビジュアルブリーフ」を作成してください。
以下の構成でまとめてください:
1. プロジェクト概要(サービス名、目的、ターゲット)
2. ページ構成と各セクションの役割
3. デザインの方向性(トーン、色味、参考イメージ)
4. モックアップの位置づけ:「認識共有用の叩き台であり、このデザインをそのまま実装するものではない」※ このチャットで生成したモックアップのスクリーンショットを添付して渡す想定です。
モックアップの画面録画やスクリーンショットを添付し、このブリーフと一緒に渡す。「見せて合意する」ための一式がこれで揃う。
ツール選定の判断基準
今回の検証結果を整理しておく。どのツールを使うかで体験は変わるので、判断材料として。
ただし、どのツールを使うかで体験が変わるのも事実なので、判断材料として整理しておく。
| 観点 | Claude | Gemini | ChatGPT |
| 1度目の出力 | ◎ | ◯ | △ |
| 修正の精度 | ◎ | △ | △ |
| プレビュー | ◯ | ◯ | ◯ |
| 実用性 | ◎ | ◯ | △ |
迷ったらClaude Opus 4.6を使えばよい。1度目のアウトプットの質、修正の正確さ、プレビューの安定性のバランスが最も良い。Gemini Proも十分実用的で、デザインの好みによってはこちらが合う場合もある。
大事なのは、どのツールを選んでも5分でモックアップが出るという事実だ。ツール選びに時間をかけるより、まず1つ試して「見せて合意する」体験を1回やってみることを勧める。
評価

編集者あとがき
「テキストや口頭で伝えたつもりが伝わっていなかった」経験は何度もある。デザインや仕様の方向性を議論し、全員が「わかった」と言ったのに、初稿を見て「あれ、こういうことじゃなかったんだけど」となる。そこから修正を重ね、時間とコストが膨らむ。原因は明確で、ビジュアルをテキストで伝えようとしたことだ。
今回試してみて実感したのは、モックアップの「デザインとしての完成度」はそこまで重要ではないということ。大事なのは、チームや関係者の全員が「同じ絵」を見ている状態を作ることだ。ワイヤーフレームレベルでも、色味やレイアウトの方向性が「見える」だけで、議論の質が変わる。
もう一つの発見は、修正指示の出し方がそのまま「コミュニケーション力のトレーニング」になるということだ。AIに「カジュアルにして」と伝えたら絵文字が追加された。これは人間相手でも起きることだ。「何を変えて、何を変えないか」を明確にする習慣がつく。
次に試したいのは、LP以外への応用だ。サービス画面のモックアップ、社内プレゼンのビジュアルイメージ、採用ページのレイアウト。「テキストで議論する前に見せる」というプロセスは、デザインに限らず、あらゆる合意形成を加速させるはずだ。
ニュースを消費せず、思考に変える習慣。
一人の限界を超えるための、テックメディア。



















