週刊テックニュース(1/19-1/25)

先週のテック業界は、各社の立ち位置の違いが鮮明になった1週間だった。
Googleは派手な新製品ではなく、GeminiをGoogleトレンドやGmail、検索といった既存プロダクトに静かに浸透させている。20年かけて築いたデータ資産とプロダクト群をAIで武装する戦略だ。チャットボット単体の性能競争ではなく、エコシステム全体で勝負している。
対照的にOpenAIは、広告導入と低価格プラン「Go」で収益化を急いでいる。週間8億ユーザーの大半が無料のまま、インフラコストだけが膨らむ構造を転換しなければならない。ジョニー・アイブとのAIデバイス発表も年内に控え、ソフトウェア企業からハードウェア企業への転身を図る。
Appleは2027年にAIウェアラブルピンを投入するという。だが、AI分野での遅れをGemini採用で認めたばかりの今、AIデバイスで世界を変えられるかは未知数だ。
そしてAnthropicのClaude Coworkが、SaaS業界に激震を走らせた。「ソフトウェア株を保有する理由がない」——投資家のこの言葉が、AI時代の勝者と敗者の二極化を象徴している。
今週のハイライト
OpenAI、ChatGPTに広告導入を発表
OpenAIは米国でChatGPTの無料版と月額1,500円の「Go」プラン向けに広告テストを開始する。広告は回答下部に「Sponsored」ラベル付きで表示。Plus以上の有料プランは広告なしを維持する。サム・アルトマンはかつて「AI×広告はディストピア的」と批判していたが、方針転換を余儀なくされた。
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OpenAI、ジョニー・アイブ設計のAIデバイスを2026年後半に発表へ

OpenAI政策責任者がダボス会議で、ジョニー・アイブ率いるチーム設計のAIデバイスを2026年後半に発表予定と明かした。スクリーンレスで音声インタラクション主体の設計を採用し、初年度4000〜5000万台の出荷を目指す。製造はFoxconnが担当。
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SaaS株が年初から15%下落、Claude Cowork発表で懸念再燃

AnthropicのClaude Cowork発表を受け、SaaS株指数は年初来15%下落。Intuitは週間16%安、AdobeとSalesforceは11%超の下落を記録した。Mizuhoのアナリストは「どれだけ株価が下がっても、バイサイドはソフトウェア株を保有する理由を見出していない」と指摘。
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AppleがAI搭載ウェアラブルピンを開発中、2027年発売を視野
AppleがAirTagサイズのAIウェアラブルピンを開発中と報道。デュアルカメラ、3マイク、スピーカーを搭載し、2027年発売・初年度2,000万台生産を目指す。OpenAIとジョニー・アイブのデバイスへの対抗が背景にある。
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OpenAIの動向
低価格プラン「ChatGPT Go」を全世界展開

日本では月額1,500円で提供開始。無料版比でメッセージ数・ファイルアップロード・画像生成の上限が10倍に拡大し、GPT-5.2 Instantへのアクセスを提供する。
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翻訳ツール「ChatGPT Translate」を公式発表なしで公開
50以上の言語に対応し、Google翻訳風の2パネルUIを採用。トーン調整機能からChatGPT本体への導線を設計している。
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ChatGPTに年齢推定機能を導入
OpenAI:年齢予測に向けた取り組み、年齢予測に関する私たちのアプローチ
行動パターンから18歳以上/未満を判定し、未成年と推定されたアカウントには保護措置を自動適用。誤判定された成人はセルフィーやIDで年齢証明が必要になる。「アダルトモード」解禁の前提条件として導入。
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Googleの動向
Gemini「Personal Intelligence」を米国で提供開始
Introducing a more personal Gemini, designed for you.
Personal Intelligence draws insights from across your @Google apps to provide truly customized responses from Gemini. Learn all about it below. 🧵
— Google Gemini (@GeminiApp) January 14, 2026
Gmail、Googleフォト、YouTube、検索履歴を横断参照し、パーソナライズされた回答を生成する機能をベータ提供開始。Googleが20年かけて蓄積したデータ優位性をAI競争に直接活用する動き。
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GoogleトレンドにGemini機能を追加
トレンドの自動識別・比較機能を追加。興味分野を入力すると最大8つの関連検索語が自動でグラフに表示される。無料ツールの価値を引き上げ、有料SEOツール市場に圧力をかける動き。
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AI・開発ツール
AI大手3社が1週間で医療分野に一斉参入
- OpenAI:ChatGPT ヘルスケアが登場
- Anthropic:ヘルスケアとライフサイエンスにおけるClaudeの進歩
- Google:MedGemma 1.5による次世代の医用画像解釈とMedASRによる医療音声テキスト化
OpenAI(ChatGPT Health)、Anthropic(Claude for Healthcare)、Google(MedGemma 1.5)が相次いで医療ツールを発表。いずれも「診断目的ではない」と明記。日本での提供時期は未定。
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Replit、自然言語でiOSアプリ開発・公開が可能に
プロンプトのみでiOSアプリを作成し、3クリックでApp Storeに申請できる機能を発表。Stripe連携でアプリ内課金にも対応。
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プラットフォーム・規制
TikTok、米国合弁会社を設立
Oracle・Silver Lake・MGXが各15%を保有し米国投資家が80.1%、ByteDanceが19.9%を維持する構造で決着。元TikTok運営責任者のAdam PresserがCEOに就任。2億人超の米国ユーザーは引き続き利用可能。
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Meta、Threadsの広告を全世界で展開へ

月間4億人、日次モバイルユーザーでX(1.25億人)を上回る1.4億人を抱えるThreadsで広告配信を開始。数ヶ月かけて段階的に展開。
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Netflixがモバイルアプリを刷新、縦型動画フィードを本格導入
2026年後半にTikTok風の縦型動画フィードをコア機能として統合。「作品を選んで視聴する」から「フィードをスワイプして発見する」へ、ストリーミングの利用形態が変化する可能性。
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世界で加速する「16歳未満SNS禁止」
オーストラリアの法施行から1ヶ月で470万アカウントが削除。英国・フランス・EUも追随の動きを見せ、プラットフォーム規制が世界的に拡大している。
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総括
先週のニュースが浮き彫りにしたのは、「誰がAI時代のインターフェースを握るか」という争いだ。
OpenAIとAppleがAIデバイスで競い、Googleは既存プロダクトにAIを静かに浸透させ、Anthropicはソフトウェア業界の前提を揺るがしている。一方で、OpenAIの広告導入やThreadsの広告展開は、「無料で使える」サービスの代償として私たちが何を差し出しているのかを改めて問いかける。
AIがソフトウェアを「強化する」時代から「置き換える」時代へ。あなたの仕事や日常は、この変化のどちら側にいるだろうか?











