2024年6月の発表から約2年、Appleが約束したAI搭載Siriは未だ実現していない。

2025年春の延期を経て、2026年1月にはGoogleのGeminiモデル採用という「切り札」を切った。しかし内部テストで再び問題が発覚し、3月に予定していた全面刷新は数カ月の分散投入へ変更された。

Googleの技術を手にしてなお動かないSiriが、AI導入の本質的な困難を浮き彫りにしている。

事実 何が起きたか

AppleのAI搭載Siriが内部テストで問題を起こし、3月のiOS 26.4での全面投入から、5月のiOS 26.5以降への段階的リリースに変更された。

読み解き なぜ重要か

世界最大のAIモデルへのアクセスがあっても、端末体験への統合は別の問題であることを示唆している。

影響 何が変わるか

Apple株は2月12日に5%下落し、約2,000億ドルの時価総額が消失——市場はAI戦略の実行力に対する信頼を再評価し始めた。

Overview

  • Bloombergが2月11日、新Siriの内部テストで応答遅延や誤処理などの不具合を報じた。
  • iOS 26.4(3月)での全機能投入は見送られ、iOS 26.5(5月)以降に段階的に展開される見通し。
  • Appleは2月12日、CNBCに対し「2026年中のリリース予定に変更はない」と声明を出した。
  • 同日、FTC議長がApple Newsの政治的偏向疑惑でティム・クックに書簡を送付し、株価下落に拍車をかけた。
  • Apple株は5%下落し4月以来の最大下げ幅を記録、年初来で約4%のマイナスとなった。

この遅延が教えているのは、AIの競争力はモデルの性能では決まらないということだ。

AppleはGoogleのGeminiという「最高の頭脳」を手に入れた。それでも、Siriがユーザーの言葉を途中で切り、複雑な質問を処理できず、意図せずChatGPTに切り替わる——内部テストで露呈した問題は、モデルではなく「体験への統合」の壁だ。

先日配信したAppleとGoogleの提携記事で「Appleは体験を、Googleは技術を支配する」という分業の構図を指摘した。しかし今回明らかになったのは、その「体験の支配」こそが困難な仕事だという現実である。

これはAppleだけの問題ではない。あらゆる企業が外部のAIモデルを導入して業務を変革しようとしている今、「最先端のモデルを買えば解決する」という幻想に対する警告でもある。

あなたの会社がAIを導入するとき、本当のボトルネックはどこにあるか——その問いを、Appleの2年越しの苦闘が突きつけている。

考える問い

  • 最先端のAIを外部から調達する企業と、自前で開発する企業——5年後に生き残るのはどちらの戦略か
  • あなたの仕事にAIが導入されるとき、「技術の導入」と「業務への定着」のどちらに時間がかかると想定しているか

報道記事・ソース

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なべ

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なべ

techtech.club 編集長。メディアで起業し、元はスタートアップのプロダクトマネージャー。一度テクノロジーに賭けて挫折した。その経験がいまの生き方や考え方、事業の起点になっている。ここで書くのは答えではない。投資・キャリア・事業など専門家でなくても自分の頭で判断するための材料と視点。読者に教えるのではなく、一緒に考える側にいたい。