2022年に始まった1,000件を超える個人・学区・州司法長官による訴訟群が、ついに陪審裁判の段階に入った。
TikTokとSnapが開廷直前に和解で離脱する中、MetaとYouTubeだけが法廷に残された。1990年代のBig Tobacco訴訟と比較されるこの裁判で、Instagram責任者アダム・モッセーリが最初のシリコンバレー幹部として証言台に立った。
争点は、プラットフォームの「設計」そのものが子どもへの加害行為にあたるかどうかだ。
Instagram責任者アダム・モッセーリがロサンゼルスの中毒訴訟裁判で証言し、SNSへの「臨床的中毒」の存在を否定した。
「中毒か、問題のある利用か」という言葉の定義争いの裏側で、プラットフォーム設計が法的責任の対象になるという産業構造の転換が進行している。
1,000件超の類似訴訟のベルウェザー裁判として、この判決がSNS企業の製品設計責任の法的前例を形成する。
Overview
- Instagram責任者アダム・モッセーリが2月11日、ロサンゼルス上級裁判所でSNS中毒訴訟の証人として証言した
- アダム・モッセーリは「臨床的中毒と問題のある使い方を区別すべき」と主張し、SNSの中毒性を否定した
- 原告側は、Metaの内部メールを提示し、美容整形フィルターの有害性が社内で議論されながらも禁止が見送られた経緯を追及した。アダム・モッセーリ側は文化的文脈の問題であり収益目的ではないと反論した
- 本裁判はTikTok・Snapの和解後にMeta・YouTubeを被告として進行中で、2月18日にマーク・ザッカーバーグ、翌日にYouTube CEOのニール・モハンが証言予定
アダム・モッセーリは「中毒ではなく問題のある使い方だ」と言い、Netflixの一気見を例に挙げた。だが本質的な問いはそこにない。
Netflixは"いいね"の数で自己肯定感を数値化するフィードバックループを持たず、10代の少女に整形フィルターを配信もしない。この裁判が突きつけているのは、「設計」が中立であるという前提の崩壊だ。
テック企業がユーザーの脳の報酬系を理解した上で製品を作っている以上、その設計行為は「サービス提供」ではなく「介入」として法的に評価されうる。Big Tobacco裁判がニコチンの中毒性を企業責任に変えたように、この裁判はエンゲージメント最大化という設計思想そのものを、法的責任の対象に変えようとしている。
この裁判が勝訴しても、アルゴリズムの設計変更は誰が監査するのか。規制の実効性という、まだ誰も答えていない問いがある。
考える問い
- 「問題のある使い方」と「中毒」の線引きを、プラットフォームを設計した側が定義することに、どこまで正当性があるのか
- 「親の責任」と「企業の設計責任」という二項対立は、子どもの安全を語る上で十分な枠組みなのか
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