情報収集は、経営者にとって終わらない課題だと思います。世の中から遅れたくないという不安もありますし、知見を増やしたいという前向きな気持ちもあります。だから集めたくなる。ただ、集めたあとにそれが何かにつながったかというと、私の場合は怪しいものでした。この記事では、集めることそのものをやめるのではなく、集めた情報の出口を作った話をします。作ったのは、通すか捨てるかを毎週決める「情報の関所」です。

この記事の要点

  • 情報収集は手段なのに、いつのまにか目的になっていた
  • これまで「入口を絞れ」が正解だったのは、人間が全部読むしかなかったから
  • AIに読ませられるなら、絞る場所は入口ではなく出口になる
  • 私がやっているのは、情報を渡して、週に一度、確認するだけ
  • AIは荷ほどきをする係で、通すかどうかを決めるのは人間のまま
情報収集は集め方ではなく活かし方が重要。全部読むのをやめて「関所」で捨てるようにした話
週次で作成されるブリーフィング

集めることが、目的になっていた

私自身の経験から。私は情報収集そのものが好きですし、しないと判断できないことがたくさんあるので、やめるという選択肢はありませんが、問題は集めることが目的になっていたことでした。

なんとなく集めて、なんとなく良さそうだと思って、なんとなく次に進む。その繰り返しで、時間を使っていました。使っていたのは時間だけではありません。思考力や集中力など頭のスタミナのようなものも削られていて、そのあとの仕事に集中できないことがありました。

情報収集はあくまで手段です。本当の目的は、その先で何かを判断したり、やり方を変えたりすることのはずでした。そこが抜けたまま、入口だけを開けていたわけです。

「入口を絞れ」が正解だった理由

「入口を絞れ」が正解だった理由

情報収集の話になると、これまでは入口の話が中心だったと思います。見る量を減らす。信頼できる発信元だけに絞る。私もそう教わってきました。

なぜそれが正解だったかというと、人間が全部読むしかなかったからです。

読む時間があるか。良し悪しを見抜けるか。自分にとって価値があるかどうかに気づけるか。気づけたとして、それを活かせるか。ここまで全部、読む人間の能力と時間に依存していました。依存先が自分しかないなら、入口で量を減らすしか手がありません。

また、私個人的な見方ですが、無料で取得できる情報が全部有益だとは思っていません。発信する側には何かしらの意図がありますし、本物と呼べるものは、体感で1パーセントもないと思っています。だとすると、出口を用意しないまま情報を浴びる行為は、出す側の意図に自分の時間を差し出しているのと変わりません。

読む工程をAIに渡せるなら、絞る場所は出口になる

AIにより、情報収集の前提が大きく変わりました。それは、読む工程を渡せるようになったからです。

いまは、集めたものをAIが読んで、要約と、その情報が何のために発信されたのかまで並べてくれます。人間が全部読むという制約が外れる。すると、入口を絞る理由がなくなります。

だから私は逆にしました。入口は開けたままにして、出口を作る。集めるのは自由、ただし週に一度、通すか捨てるかを決める。これが「情報の関所」であり、私のやることです。

「AIで効率化した」という話でもありますが、前提が変わったので、正解のほうが変わった、という話です。

私が実際にやっていること

私が実際にやっていること

やっていることは、突き詰めると4つです。

  1. 気になった情報を、スマホ・パソコンからストックする
  2. 週に一度、AIがストックされた情報の荷解きをする
  3. まとめレポートに記号・コメントを入れる
  4. 私の反応が、そのままAIへの次の指示になる

気になった情報を、スマホ・パソコンからストックする

WebサイトやYouTube、Xなどで見つけた情報は、すべてを読んだり、内容を深く理解する前に、さらっとタイトルや導入部分だけ見て、気になるものがあったらストックするようにしています。

情報を集めるところは、できるだけ手間をゼロに寄せました。パソコンで見ているページはブラウザの拡張機能でそのまま保存します。スマホの場合は、いつも使っているLINEに共有するだけです。Xの投稿なら、共有ボタンを押してLINEを選ぶ。ボタン2回で終わります。

主軸から少し外れますが、ここは大事なところなので、もう少し具体的に書いておきます。

まず、使っている端末によって送り方が変わります。

端末 送り方
パソコン 見ているページで、ブラウザの拡張機能を押す。それだけで保存される
スマホ 共有ボタンからLINEを選んで送る。あとは自動で保存される

スマホでも、Firefoxのように拡張機能が使えるブラウザを選べば、パソコンと同じことができます。ただ、そのために普段のブラウザを変えるのは負担が大きいです。だからLINEに送る形に落ち着いています。いつも開いているアプリの中で完結することを優先しました。

次に、集めるものの種類です。Webの記事だけではありません。

種類 保存されるもの
Web記事 本文がそのまま。広告やメニューは落ちる
Xの投稿 投稿の本文、主なリプライ、画像
YouTubeの動画 説明欄と章立てに加えて、話している内容の全文

3つ目が効きます。29分の動画で、文字にすると4万字ほどになりました。動画を再生しなくても、中身が全部テキストで残っている状態です。動画を私の代わりに見てもらっているのと変わりません。

そして、どの種類で入れても、最後は同じ形のテキストになって同じ場所に保存されます。記事も投稿も動画も、あとの扱いが同じになる。地味な話ですが、これがないと種類ごとに別の作業が生まれて、続かなくなっていたと思います。

週に一度、AIがストックされた情報の荷解きをする

集まったものは、週に一度、一覧になって出てきます。多い週で30件、少ない週で10件ほど。それぞれに要約と、出どころと、その情報が何のために発信されたのかが付いています。

私は土日の静かな時間に開き、コーヒーを飲みながら、ゆっくり見る時間にしています。30件ある週でも、1時間ほどで終わります。

毎日ダラダラと見るのではなく、収集はサクサク行い、週末にじっくり見るという流れにしています。

まとめレポートに記号・コメントを入れる

ここが関所の本体です。私がやるのは、一つずつに記号を置くことだけ。使っている記号は3つです。

  • チェックは、中身を見る(私が情報収集するため)
  • 箱は、中身は見ないが情報としてためておく(今後AIに知識として使わせるため)
  • バツは、何もせず流す

そして、気になったものにはひと言だけ添えます。「もっと詳しく知りたい」「作り方ではなく仕組みを知識として入れたい」「これは自分の業務に取り込みたい」。文章にはしません。ひと言です。

情報収集は集め方ではなく活かし方が重要。全部読むのをやめて「関所」で捨てるようにした話
ブリーフィングに反応を入れる

私の反応が、そのままAIへの次の指示になる

置いたひと言を、AIがもう一度読み直します。ここが、ただの選別と違うところです。

詳しく知りたいと書いてあれば、その情報を解説してくれます。知識として入れたいと書いてあれば、内容を構造化して保管します。業務に取り込みたいと書いてあれば、私のタスク管理ボードにチケットを立ててくれます。

つまり、見て終わりにならない。情報収集でのひと言が、次の行動への分岐になっています。私が悩んでいた「集めたのに何にもならない」は、ここで止まりました。

別件ですが、収集した情報に対してコメントを書くとき、キーボードで打つのではなく、話した内容を文字起こししてそれをコメントとしてそのまま使うのが便利です。これもAIがやってくれます。

情報収集は集め方ではなく活かし方が重要。全部読むのをやめて「関所」で捨てるようにした話
情報収集→ブリーフィング→次のアクションをタスク管理

AIがやっているのは、荷ほどきです

AIがやっているのは、荷ほどきです

ここまで読んで、AIに選ばせたら自分の興味の枠に閉じてしまうのではないか、と感じた方もいると思います。

ですが、実際はそうなっていません。AIがやっているのは、例えるなら“荷ほどき”だけだからです。届いたものを開けて、中身が見える形に並べる。そこまでです。

通すか捨てるかを決めているのは私です。捨てているのが人間なので、AIが私の好みを覚えて似たものばかり運んでくる、ということも起きません。

もちろん、AIの役割として私がチェックしやすいように要約やコメントをさせていますが、それは判断や推奨ではなく、あくまでも翻訳です。AIの意図は入れさせないようにしています。

もう一つ補足しておくと、記号は「読むかどうか」の判定であって、「その情報が正しいかどうか」の判定ではありません。要約は取りこぼすこともありますし、間違うこともあります。だからチェックを付けたものは、そのあとで中身に踏み込みます。一覧の段階で全部読むのをやめただけで、読むことをやめたわけではありません。

うまくいっていないこと

うまくいっていないこともあり、それは仕組みが形骸化すること。

これは今回に限った話ではありません。困っていることがあって、AIに作らせて、そのときはいいと思っても、しばらくすると使わなくなる。前職でもやり方を変えようという議論のときは前向きだが、実際に動き始めるとだんだん動かなくなっていくことがありました。

この問題に、まだ明確な答えを持っていませんが、いま効いていると感じるのは3つです。

  • 作りすぎない
  • 作ることを目的にしない
  • 新しい手順を増やさず、いつものルーティンに乗せる

3つ目がいちばん大きいと感じています。人間の特性として、面倒くさがりで、忘れっぽく、怠けるものだと思っています。これは表面的な性格の話ではなく、もっと深いところの話。だから意志で続けようとしても続きません。

だから私は、送る操作をボタン2回にしましたし、見る時間を土日のコーヒーの時間に置きました。すでに毎日やっていること、すでに毎週やっていることの上に小さく乗せる。細かい話に見えますが、この積み重ねが形骸化を遠ざけているように感じています。

これから始める人へ

いちばんお伝えしたいのは、AIによって情報収集の根幹が変わった、ということです。

これまで入口の話しかできなかったのは、人間が全部読むしかなかったからでした。その制約が外れたなら、考えるべきは入口ではありません。集めた情報がどこへ出ていくのか、という出口のほうです。

ですから、始めるときにやるのは、便利なツールを探すことではないと思います。集めた情報を最後に何にしたいのか、を先に決めることだと思います。読みたいのか、知識として持っておきたいのか、仕事のやり方を変えたいのか。出口が決まっていれば、そこへ運ぶ仕組みは小さく作れます。

集めるのをやめる必要はありません。集めたものを、毎週捨てられるようにしておくだけです。捨てられるようになると、残ったものにきちんと時間を使えるようになりました。

なべ

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なべ

小さな会社の経営をAIで変える。自分で実践して、その渡り方を経営者の言葉に翻訳して届けます。やり方が変わる前に先に渡る人でありたい。起業7期目 / 元スタートアップPM