収支管理は、フリーランスにとって地味だが避けられない仕事だ。放置すれば確定申告前に地獄を見る。わかっている。わかっているが、エクセルを開くと関数の壁にぶつかり、ネットで拾ったテンプレは自分の仕事に微妙に合わない。

私はこの問題をClaudeで解決した。「こういう表がほしい」と伝えるだけで、関数も書式も設定済みのエクセルファイルが出てくる。この記事では、その具体的な方法を共有する。

この記事でできるようになること

30分後の状態

  • 自分のビジネスに合った収支管理表(.xlsx)が手元にある
  • 入力シートに数字を入れれば、集計は自動で回る

その先

  • 「ここを直したい」と思ったら、Claudeに追加依頼できる
  • 同じ方法で、顧客管理や案件管理の表も作れる

結論

この方法が向いているのは、以下のような人だ。

  • エクセルの関数が苦手。SUMIFと聞くと画面を閉じたくなる
  • テンプレをダウンロードしても、結局カスタマイズで時間を溶かしてきた
  • 「とりあえず動くもの」を最短で手に入れたい

一方、この方法では対応しきれないケースもある。

  • 取引量が多い場合。手動では限界がある、素直に会計ソフトを使うべきだ
  • 複数人でリアルタイム編集したい場合。エクセルファイルをスプレッドシートにインポートすればOK
  • すでに完璧な管理表を持っている場合。わざわざ作り直す理由がない

 

また今回は、ClaudeのAIモデル「Opus4.5」と「Sonnet4.5」を使用した。

Opus4.5はさすが最上位モデルだけあって、間違いはなく、関数エラーもなし。表に色分けをしたりして、人間が使いやすいように考えて作成されている。今すぐ使い始められるためこれがベストだ。

一方、Sonnet4.5は一部間違いがあった。仕事ですぐに使い始めるならOpus4.5をじっくりモードで作ってしまうのがおすすめ。

私の結論はこうだ。「自分用の管理表をサクッと作りたい」フリーランスにとって、Claudeは最適解になる。関数を調べる時間がゼロになる。シートを整えるのに四苦八苦するストレスもゼロ。これが一番大きい。

最終アウトプット

今回作る収支管理表の構成は以下の通り。

シート名 役割
入力シート 日付・項目・金額・カテゴリを記録する
月別集計 月ごとの収入・支出・利益を自動計算
カテゴリ別集計 経費カテゴリ(交通費、通信費など)の内訳
年間サマリー 12ヶ月の推移を一覧で確認

入力シート:

Claudeでエクセル収支管理表を作る|関数も書式設定も30分で完成

 

月別集計:

Claudeでエクセル収支管理表を作る|関数も書式設定も30分で完成

 

カテゴリ別集計:

Claudeでエクセル収支管理表を作る|関数も書式設定も30分で完成

 

年間サマリー:

Claudeでエクセル収支管理表を作る|関数も書式設定も30分で完成

 

今回はエクセルファイルで作成しているが、Googleスプレッドシートにインポートして使うこともできる。

複数デバイスでの運用や、複数人でリアルタイム編集したい場合はスプレッドシートの方が使い勝手が良い。

Claudeでエクセル収支管理表を作る。関数も書式設定も20分で完成

 

Claudeで使用できる最上位のAIモデル「Opus4.5」を使用したアウトプットファイル。

フリーランス収支管理表_Opus4.5.xlsx

 

3つあるモデルの中間「Sonnet4.5」のアウトプットファイル。

フリーランス収支管理表_Sonnet4.5.xlsx

具体的な使用方法と手順

1. 収支管理表の要件を整理する(担当: 人間)

最初にやることは、自分が何を管理したいのかを言語化することだ。ここを曖昧にしたままClaudeに投げると、やり直しが増える。

決めておくべき項目は4つ。

  • 収入のカテゴリ:売上の種類をどう分けるか
  • 支出のカテゴリ:経費をどう分類するか
  • 管理期間:月単位か、年単位か
  • 見たい集計:月別推移か、カテゴリ別内訳か、その両方か

今回は以下の設定で進める。

【収入カテゴリ】
– 売上(本業)
– 売上(副業・単発)

【支出カテゴリ】
– 交通費
– 通信費
– 消耗品費
– 外注費
– 接待交際費
– その他経費

【集計】
– 月別の収支・利益
– カテゴリ別の年間合計

自分の仕事に合わせて、カテゴリは自由に変えてほしい。

2. 収支管理シートを作成する(担当: AI)

以下のプロンプトをClaudeに送る。

フリーランス向けの収支管理表をエクセルファイル(.xlsx)で作成してください。

【要件】
■ シート構成
1. 入力シート:日々の収入・支出を記録
2. 月別集計シート:月ごとの収入・支出・利益を自動計算
3. カテゴリ別集計シート:支出カテゴリの年間内訳
4. 年間サマリーシート:12ヶ月の推移一覧

■ 入力シートの列構成
– 日付
– 種別(収入/支出をプルダウン選択)
– カテゴリ(プルダウン選択)
– 取引先・内容(自由記述)
– 金額

■ 収入カテゴリ
– 売上(本業)
– 売上(副業・単発)

■ 支出カテゴリ
– 交通費
– 通信費
– 消耗品費
– 外注費
– 接待交際費
– その他経費

■ その他
– 入力シートにはサンプルデータを10行ほど入れてください
– 集計シートの関数はSUMIF系でお願いします
– 見やすいように罫線と色分けをしてください

Claudeでエクセル収支管理表を作る|関数も書式設定も30分で完成

ポイントは3つある。
「エクセルファイル(.xlsx)で作成してください」と明示する。これを書かないと、Claudeは手順の説明だけを返してくることがある。ファイルそのものがほしいなら、はっきり言う必要がある。

シート構成と列構成を具体的に指定する。曖昧な依頼は曖昧な出力を生む。「いい感じの収支管理表を作って」では、自分の期待とズレたものが出てくる。

サンプルデータを入れてもらう。 空のテンプレートだと、関数が正しく動くかどうか確認できない。最初からデータが入っていれば、集計が合っているか一目でわかる。

3. 出力を確認する(担当: 人間)

Claudeがエクセルファイルを生成し、ダウンロードリンクを返してくる。指示から出力までは2分ほど。ダウンロードして開いて以下を確認する。

Claudeでエクセル収支管理表を作る|関数も書式設定も30分で完成

  • シートが4つあるか
  • 入力シートにプルダウンが設定されているか
  • サンプルデータが入っているか
  • 月別集計の数字が合っているか(手計算で検算する)
  • カテゴリ別集計が正しく動いているか

私が試したとき、ClaudeのAIモデル「Opus4.5」だと最初の出力で意図したファイル、シートが生成され、関数も問題なく動いた。

Sonnet 4.5のアウトプットは関数問題なし。しかし「月別集計」シートの年月に「2025/02」と「2025/12」がなかった。

Claudeで使用できる最上位のAIモデル「Opus4.5」を使用したアウトプットファイル。

 

また、「カテゴリ別集計」には支出はあるが、収入のサマリーはなかった。

Claudeで使用できる最上位のAIモデル「Opus4.5」を使用したアウトプットファイル。

 

収支管理表の要件が複雑になると「カテゴリ別集計シートが収入と支出を区別していない」、「関数エラーを起こしている」などの問題が起きる可能性もある。次の工程で修正すればいい。

4. ファイルの修正を行う(担当: AI)

確認して気になった箇所は、Claudeに追加で依頼する。

すぐ直せるところは、手動で直してしまったほうが早い。それがClaudeを使ってエクセルファイルを作成できるメリットでもある。

カテゴリを追加したい場合:

支出カテゴリに「書籍・研修費」を追加してください。
プルダウンと集計シートの両方に反映してください。

見た目を調整したい場合:

以下の修正をお願いします。

  • 入力シートの1行目を固定表示にしてください
  • 金額列に3桁カンマ区切りを設定してください
  • 月別集計シートで、利益がマイナスのセルを赤字にしてください

集計項目を追加したい場合:

月別集計シートに「経費率(支出÷収入)」の列を追加してください。

修正依頼のコツは、1回につき2〜3点に絞ることだ。一度に10個の修正を投げると、Claudeは一部を取りこぼすことがある。急がば回れ。

また、構成そのものを大きく変えたい場合は、修正より作り直しの方が早い。「シートを2つに減らして、構成を変えたい」といった依頼は、最初のプロンプトを書き換えて再実行する方が確実だ。

また一つポイントとして、入力欄の左下にある「じっくり考える」を有効にすると、多少(2分程度)アウトプットに時間はかかるが、間違いやエラーが少なかったり、あったとしても自動的に直してくれるのでおすすめ。

Claudeでエクセル収支管理表を作る|関数も書式設定も30分で完成

5. ファイルを使って運用を始める(担当: 人間)

修正が終われば完成だ。あとは日々の収支を入力シートに記録していけば、集計は勝手に更新される。

収支入力の運用でコツを一つ。週に1回、入力する曜日を決めておくといい。毎日やろうとすると続かない。週末にまとめて入力する、くらいの緩さで十分だ。

評価

項目 評価 コメント
コスト ★★★☆☆ (3/5) 無料プランでも利用できるが、すぐ使えるレベルなら月額プラン加入がおすすめ
クオリティ ★★★★☆ (4/5) 実務ですぐ使えるレベル。AIモデルは最上位「Opus」がおすすめ
使いやすさ ★★★★★ (5/5) 要件を日本語で伝えるだけ。関数の知識は不要
汎用性 ★★★★☆ (4/5) 収支管理以外にも応用できる。顧客管理、案件管理、在庫管理など
難易度 ★★★★★ (5/5) プロンプトをコピペして、カテゴリを自分用に書き換えるだけ

使用ツール・コスト / 所要時間

  • コスト: 追加料金なし
  • 所要時間: 約 20 分

編集者あとがき

正直に言うと、最初は懐疑的だった。エクセルのテンプレートなど、ネットにいくらでも転がっている。わざわざClaudeに作らせる意味があるのか。

実際にやってみて、考えが変わった。

テンプレートを使う場合、「ダウンロードする→不要な列を削除する→カテゴリを書き換える→関数がズレる→直す」という工程が発生する。これが意外と面倒で、結局カスタマイズに30分や1時間以上かかることもあった。

Claudeを使うと、この工程が丸ごとなくなる。「こういう表がほしい」と伝えれば、最初から自分の要件に合ったものが出てくる。テンプレを自分に合わせるのではなく、自分に合ったものを最初から作る。この違いは大きい。

一点、注意しておきたいこともある。Claudeは万能ではない。複雑な条件分岐や、シート間の高度な連携を求めると、期待通りに動かないことがある。そういう場合は、Claudeに関数のロジックを説明してもらい、自分で微調整する方が早いこともある。

次は「入力の自動化」に挑戦したい。レシートを撮影したら自動で入力される仕組みを、GAS連携で作れないか。試したら、また共有する。

ジョン

Author

ジョン

techtech.club 編集長。メディアで起業し、元はスタートアップのプロダクトマネージャー。一度テクノロジーに賭けて挫折した。その経験がいまの生き方や考え方、事業の起点になっている。ここで書くのは答えではない。投資・キャリア・事業など専門家でなくても自分の頭で判断するための材料と視点。読者に教えるのではなく、一緒に考える側にいたい。