請求書を送り忘れて先方に迷惑をかけ、逆に請求書が送られてこなくて催促する。請求業務が漏れるということは、日常茶飯事だと思います。
請求書づくりの流れは、メール確認から始まり、請求の依頼を見つけて、会計ソフトを開いて、作って、メール文を作成して送る。この工程の中で「忘れてはいけない」と自分に言い聞かせながらも、後回しになって忘れてしまう。作る時間より、覚えている時間のほうが、実は重いです。
今回は、その「覚えておく」ところも含めてAIに仕事を渡してみました。メールの確認とタスク化をAIに任せて、請求書の作成もAIが行い、人間は確認と送付だけを残す形です。作るスピードも変わりましたが、それより大きな変化は、忘れる心配やストレスから解放されたことでした。
Claudeに会計ソフトのfreee、Gmail、Googleカレンダーをつないで、請求書や見積書を作りました。
この記事の要点
- AIは「作業時間」の圧縮だけでなく、「忘れる」ことをなくす
- 「タスク化する」という記憶をAIに渡してしまう
- AIに任せるところ、人間がやることの線引きをする(確認と送付)
請求書づくりで一番のコストは、打ち込みではなかった
請求書の作成といえば、金額を打ち込む作業を思い浮かべるかもしれません。1枚に10〜15分くらいかかっていましたが、打ち込む数字は数えるほどです。ではなぜ10分もかかるのか。
理由は、メール、freee、エクスプローラー、PDFを開いたり閉じたりする行き来にありました。
ページを切り替えるたびに、さっきの数字はどれだったか、どのフォルダに置いたか、頭の中で思い出し直す。請求書を作るのは簡単ですが、ツールの行き来に時間がかかり、頭を切り替えることで認知・集中が奪われてストレスの種だったのです。
重いものは、もう一つありました。メールを確認して、請求の依頼を見つけて、タスクにして、freeeを開いて、作って、送る。この流れのどこかに「これを忘れてはいけない」という記憶がぶら下がっていて、その記憶は自分の頭の中にしかありません。これを忘れると、請求書送付も忘れます。
タスク管理をしていても、そもそも「タスクに入れる」という行為自体を忘れることがあります。
「タスク化する」という記憶ごとAIに渡した
そこで、請求書の「作成」だけをAIに渡すのではなく、「タスク化する」ところからAIに渡すことにしました。
使ったのは、会計ソフトのfreee、Gmail、Googleカレンダー、AIエージェントのClaude Coworkです。
Claudeにfreee / Gmail / Googleカレンダーのコネクタ(MCP)を接続すると、AIがGmailの受信メールを読み取ったり、freeeで請求書・見積書の作成をしたり、カレンダーに予定やタスクが入れられます。
設定方法は5ステップです。
- Claude Coworkの「設定」
- 「コネクタ」
- 「freee」または「Gmail」で検索
- 「接続する」
- ブラウザでログインして承認
これで探す、記憶する、記録する、作るという作業を、人間からAIに渡すことができ、人間が各ツールを行き来する必要もなくなりました。
私はfreeeを使っていますが、マネーフォワードや弥生会計などその他の会計ソフトについては公式サイトでご確認ください。

連携したことによって、Claudeはfreeeのデータを閲覧したり、操作したりできます。しかし、デフォルト設定では読み取りも操作も承認制になっているので、基本的にClaudeが勝手にfreeeを使うことはありません。
MCP(Model Context Protocol)とは。
AIが外部のサービスやファイルに接続するための仕組み。
ClaudeにfreeeのMCPを接続すると、AIがfreeeの中の取引先やフォーマットを直接読み、請求書を作れるようになります。
設定は、ツール側のコネクタ一覧から選んで、ブラウザで認証するだけです。
MCPについての記事はMCPから、freeeのMCPについてはfreee公式のお知らせから確認できます。
現状6ステップ。人間に残ったのは保存と送付
いま、私の請求業務の流れは、次の6ステップです。
| 手順 | やること | 担当 |
| 1 | メール(Gmail)をチェックして、請求の依頼を発見 | AI |
| 2 | メールの内容からタスク化・スケジュール化(Googleカレンダー) | AI |
| 3 | 予定の時間になったタスクを拾って、請求業務に着手 | AI |
| 4 | メール本文とPDFを確認して、所定フォルダに保存 | 人間 |
| 5 | 請求書を作成(freee) | AI |
| 6 | 完成したPDFを確認して送付 | 人間 |
PDFの保存と送付の2ステップが、人間の仕事に残っています。
メールに添付されたPDFは、メールの本文と違ってClaudeが現状(記事作成時点)読み取れません。ダウンロードして所定のフォルダに入れるところまでは、私がやります。
そして、請求書や見積書を作成する際、人間がAIに指示を出して行いますが、freeeに顧客登録されているか、顧客名や金額、摘要などの情報がAIに渡せているかは大事です。
登録のない取引先や金額を伝えて作らせると正しくない請求書ができあがることがあります。また請求関連は企業の秘密情報でもあるので、入力した内容が学習に使われない設定になっているかを契約で確認したうえでAI(私はClaude)を使っています。

変わったのは、時間より心の重さ
これまで請求書を1枚作成するのに10〜15分でしたが、いまは5分程度で送付まで済みます。1枚にかかる時間の差はそれほど大きくありませんが、件数が増えれば大きなコストになります。
AI活用は「効率化」に目が行きがちですが、今回このワークフローを通して最も感じたのは、メール・freee・エクスプローラー・PDF・Googleカレンダー間の行き来がなくなり、「これを覚えておかないと」という張り詰めも消え、忘れることがなくなったことです。
請求書を送り忘れて迷惑をかけた経験があったので、いちばん大きかったのは精神的な負担の軽減でした。また、ツールの行き来で無駄に集中力が削られないため、ほかの仕事に移るときの切り替えも軽くなりました。
送付は自動にしない
ここまで読むと、「送付まで自動にすればいいのでは」と思うかもしれませんが、私は送付を自動にしていません。
理由は1つで、誤った請求書をAIが勝手に送ってしまわないようにするためです。金額や宛先を間違えた請求書が、自動で相手に届くのは避けたい。送付を人間がやるのは、特別なこだわりではなく、現時点では良い落とし所と思っています。
AIが何でもできるようになったわけではなく、できること / できないこと、できたとしてもやらせること / やらせないことがはっきり分かれた状態がいまの形です。
まさに人間同士の仕事の進め方と同じ。誰に何を任せるか、その設計はこれまで上司が行うことが多かったですが、これからはAIを使うすべての人に問われるスキルかもしれません。
「覚えておくこと」をAIに任せる
今回AIに渡したのは、請求書の「作成」だけではありません。「タスク化する」記憶と、ツールの行き来でした。
作る作業を渡すと、自分が手を動かす時間が減ります。覚えておくことを渡すと、忘れることと覚え続ける疲れが消えます。今回は後者が強く印象に残っています。
freeeを使っていない人でも、Claude CoworkやChatGPTに明日のメールの確認とタスク化を任せてみることです。メールを開く前に、AIに「今日のメールを確認して、やることをリストにして」と頼む。これだけでも、「覚えておく」が頭から外れます。

私は、スケジュール予約で自動的にAIが動くようになっているので、「AIに今日のメールを確認させて、タスク化させる」ということ自体も忘れて大丈夫なようになっています。
あなたの仕事で、メールと何かを行き来している作業はありますか。そこに「忘れたらいけない」はありますか。AIにどこから渡せそうか小さくでも良いので考えてみてはどうでしょうか。
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